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いつも行く、そう、週に、一度か二度は必ずいく牛丼屋で、注文をしたときに頼んだ灰皿を、今日も持ってきてくれなかった、これで四回連続だと、その店のスタッフの教育に憤慨しながら、それとも、己の存在感のなさに憮然としながら、家へと帰る道上で、車を走らせているとき、それを見た。 最初は、ゴミだと思った。雨ざらしになった雑誌が、アスファルトにへばりついているのだと。反射的に、それを両のタイヤでまたぐようにハンドルを切ったとき、それがゴミではないことに気づいた。 この海岸と山間を縫うように走る田舎道では、別に珍しいものではない。 イノシシをはねて車を廃車にしたという知り合いは、もう幾人もいるし、自分自身、イノシシの親子に道をふさがれたこともある。タヌキの隈取りをした目が、ヘッドライトの明かりをぼう、と反射して、地面に流れる己の血を照らし出すことも、キツネのふわふわとしたしっぽが、トラックの巻き起こす風にふらふらと揺れる、そんな光景だってよくある、と言えば言い過ぎかもしれないが、それでもやはり、珍しいとはとてもいえない。 イタチの長々と伸ばした肢体を見て、昔飼っていたフェレットをそのたびに思い出すということも、この一年だけを考えても、もう片手の指では足りないような気もする。 だから、猫が車にはねられて死んでいるのを見ても、それがゴミくずのように誰からも顧みられることなく、ただこれから幾度もタイヤに轢かれ、体中を砕かれながらいつかぼろ切れのよううち捨てられたとしても、それはよくあることだし、日常の風景の、ほんの一コマ、それ以上の意味など、あるはずもない。 ただ、一瞬の、僕の車が彼女をまたぐその寸前、ヘッドライトに照らされた、彼女自身の血で汚れているはずなのに不思議ときれいなままだった、白の中に淡い茶色をあしらったその毛並みに、僕は確かに見覚えがあった。 いつも行く、そう、週に、一度か二度は必ずいく牛丼屋の帰り道に必ず寄るコンビニの広い駐車場、そこが彼女の庭だった。 初めて彼女を見たのは、毎年恒例のように、梅雨入り宣言がされたとたんに晴れ渡った夜空の下だったと思う。 エンジンを切った車の横を堂々と歩く彼女を見て、猫と見れば無条件に顔がゆるんでしまう僕は、ちっちと舌を鳴らしたり、彼女が逃げ出すギリギリの距離を保ったまましゃがみ込んで、指をぷるぷると振ってみたり、そして無視されて落ち込んでみたり、そんなことをやっていた。 首筋も手足も細く、それなのにおなかのあたりがぽっこりと膨らんでいる理由に気がついたのは、二週間ほど彼女の姿を見なかった、そのあとのことだった。 久しぶりに彼女の姿を見て、うれしくなった僕がそっと近づいた彼女に、小さな毛玉が二つ寄り添っていた。 何だ、妊娠してたんだ。 見違えるようにほっそりとした彼女と、まとわりつく毛玉に注がれる彼女のまなざしに少しうれしくなった僕は、しばらくその情景に見とれてから車に乗り込み、そして彼女たちを驚かさないようになるべくそっとアクセルを踏んで、彼女の横を通り過ぎる。来週もまた会うことができるだろうか、そんなことを思いながら。 今日は一匹しか子供がいなかった、どうしたんだろう。今日はちゃんと二匹いた。よかった無事だった。見かけない黒猫がいるぞ、もしかしてあれが旦那かい? 僕になんか目もくれず、仔猫たちをあやしている、または自分が地面に落ちた虫にじゃれついている彼女を見ることが、そのコンビニに寄る大きな理由になっていた。 本当は、何か餌でもあげたかったのだけど、コンビニの駐車場で餌付けをするのは、やっぱり迷惑だろうと思うし、誇り高く子供たちを育てている彼女に、戯れに餌を与えることは、やはり躊躇ってしまう。まあ、こんな場所にいつもたむろっているということは、おそらく僕のように人目を気にしたりしないほかの誰かに、餌をもらっているのだろうな、とも思うのだけれど。 それでも、彼女たち親子を見ることで、ほんのわずかな時間でも、これだけ安らぎを与えてもらってるのだから、一度くらいはお礼の代わりに、ネコ缶の一つでもおごってあげるのもいいかもしれない。そんなことを考えていた。それなのに―― 今日、僕が見た風景。 それは、別に珍しくも何ともない、夜の国道で、ネコが車にはねられて死んでいた風景。 人気のない真夜中のコンビニの駐車場で、まるで初めて見たときのように、小さく丸まって身を寄せ合っている、二つの毛玉。 それだけ。 ++++++++++ てなことで、リアルに落ち込んでいます。 コンビニから二百メートルくらいは離れていたから、あの親ネコじゃないと思いたいんだけど…… 来週、またあのコンビニによって、どのネコとも会えなかったら、きっとへこむだろうなぁ。 はぁ…… 今日のGGM 谷山浩子で、 ねこの森には帰れない ※返し >ぢょおう おっさん同盟の企画って、あれですか。 一応、カオリさんからお誘いはいただいてるんですけど…… もし書けたら投下ということで、ボスにはお許しをいただいてますですよ。 |
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で…猫はどうなっていたのか…気になります。 |
かぜこ 2008/08/15 18:21 |
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